託された想い

みなさん初めまして、ヘッドコーチの坂井です。ここでは私がどうしてロックステディを日本に広めたいのか、なぜこれが私のミッションだと思っているのかをお伝えしたいと思います。

なぜパーキンソン病の事を勉強しようと思ったのか?

 アメリカの理学療法士の大学院を卒業後、そのままアメリカのカリフォルニア州で就職し、急性期病棟、回復期病棟、外来の整形外科、訪問リハビリ、そして高度看護施設(SNF)など色々な環境で仕事をさせていただきました。もちろんパーキンソン病の方もいらっしゃいましたが、関わるのはほんの数ヶ月。これはアメリカと日本の医療保険制度の違いです。

 日本に帰国後は、介護負担を減らす為にも、早い段階から関わり本人が動ける状態を維持する為のリハビリ型のデイサービスを立ち上げました。 

 

 そんな中パーキンソン病の患者の方がいました。薬が上手く聞いていて周りの人達から何が悪いのか?っと聞かれているほどでした。それが3年ほど経った時徐々にジスキネジア(自分の意に関係んなく身体が動いてしまう状態)が目立つようになりました。今まではジスキネジアが酷くなり、椅子に座っているのもやっとなほどです。そんな彼女をどうにか出来ないのか?何か方法はないのか?と色々な本や論文を読んだりする日々が続きました。

 

 アメリカの理学療法士(PT)用の継続教育プログラムのパーキンソン病のクラスをいくつも受講しました。そこで学んだ事、「自分は怠惰だったな。。。パーキンソン病のリハビリに対してベーシックな事しか出来ていなかった」っという事実です。

 

でも、一方で真剣に勉強し、凄く良い情報も学べました。それは「ジスキネジアがひどくなるのはL-Dopa薬の副作用であって本来のパーキンソン病の運動症状の問題ではない。定期的な運動を続ける事で薬の量を必要最低限または現状維持が出来る」と言うことでした。

 

 そして、最も素晴らしい学びは「アメリカにはロックステディボクシングと言うパーキンソン病患者の為のフィットネスボクシングがある。そして、そのプログラムに参加している人たちはプログラム前に比べて状態が良いと言っている事でした。」

ロックステディの現場で感じた想い

 ロックステディの事をもっと学びたいと思い再びアメリカに行きました。ロックステディ本部での研修前に実際にロックステディをしているジムを数カ所見学させて頂きました。コーチやメンバー達の生の声を聞きたいと思ったからです。

 

 実際にお会いしたコーチ達は本当に熱く素晴らしい方々でした。 クラスが始まる前に、「日本から学びに来たコーチ」だと、みんなに紹介してくださり、クラスのお手伝いまでさせて頂きました。クラス後も様々な体験談をを聴かせて頂き本当に貴重な時間でした。クラス後はメンバーさん達やその家族が、それぞれに挨拶しに来てくれたり、話しかけてくださいました。

 

 メンバーみなさんに共通していたのは「ロックステディに出会えて本当によかった。今まで出来なかった事が出来るようになった。薬の量を増やすことなく2年間通えている。みんなと一緒だから楽しく続けることが出来ている。

 

メンバーの家族さんに共通していたのは「定期的に運動するようになったことで、外出する機会が増えた。笑顔が多くなった、 一緒に通うことで会話が増えた、一緒に旅行へ行けるようになった、他の家族と話せるのでありがたい、一緒に楽しめる。」

 

 そして見学した全てのジムのコーチ、メンバーと家族の方々から遠い日本からわざわざロックステディを勉強しに来てくれてありがとう。このプログラムは本当に素晴らしい。是非是非日本の方達に伝えてあげて下さい。Good Luck!!

 

 本当に、何処のジムに行っても同じ言葉をかけて頂きました。それくらいみんなの想いが同じなんだなと感動しました。

 

        このプログラムを広めるのは私のミッションなんだ!!

 心からそう決意しました。

 

ロックステディ(RSB)本部の研修を終えて

 RSB本部はアメリカのインディアナポリスにあります。この本部のジムには一回90分のクラスに40人ちかく参加しています。RSB全部に言える事なのですが、とても良いポイントは家族やパートナーと一緒に参加出来るということです。そして家族として参加されていた方々が共に学び、今度はサポートトレーナーという立場で関わり続ける事が出来る。

 

 本部の研修で私が目にしたのは、パーキンソン病のことを学んだり、それに対する運動だけではありませんでした。神経内科医で運動障害の専門医の先生や医学教授がセミナーに来てくれて質疑応答の時間を持ってくれたり、研究教授がロックステディでの研究論文の話をする場を作っていたり。

 様々な立場の方々が色々な形で関わり続けてできたプログラムなんだな・・・・・とまたもや感動。

 

 運動プログラムではパーキンソン病のメンバーとトレーニングをしました。それが90分!! 私でも「しんどいわ~」っと思える運動量を同じようにこなしているんです。優しい彼らは「You can do this! Come on!」(大丈夫、出来るよ!)っと励ましてくれました。本当に「目からウロコ」とはまさにこの事!

 

 自分は今までいかにガチガチの固定概念で縛り付けられていたんだろう・・・・一緒に運動している彼らを見て、気付きました。「あ、限界を作っているのは自分達だったんだ!」

「病気だからこう、パーキンソン病だからこう、高齢者だからこう」そんな枠を勝手に作っていたんだと思い知らされました。

 

 今まで自分の中にあった固定概念を見事に崩され、みなさんの可能性を信じたいと思える体験が出来たことに感謝しています

 

 だからこそ今まで「あなたにはパーキンソン病だから。。。あれも、これも出来なくなる」と言われ続けていたみなさんにそんな決められた枠にはまらないで、あなた自身の可能性を信じてみてはどうでしょうか?と提案したくなりました。

 

 ガンは最初不治の病と言われていましたが、今では治療し治っている人たちもいます。パーキンソン病も今の時点では完治は出来ないと言われていますが、身体の状態をしっかりキープ出来ていれば、新しい治療法の登場を待つことが可能ではないでしょうか。そのためにもご自身から積極的にできることを始めて欲しいと願っていますし、その方法の一つとしてロックステディを広めていきたいと思っています。